2021年9月11日(土)及び12日(日)に開催されたJARL第56回理事会の「報告」が、9月28日にJARL Webで公表されました。
https://www.jarl.com/Page/Login/Login.aspx?Url=rijikai/56rijikai.pdf
(JARL会員のみ閲覧可)
実際の会議の様子は、私達一般会員には知るよしもありませんが、この報告を見ると様々な問題について、対応が遅いことがよくわかります。以下、細部について私達の分析を掲載致します。
ハムフェア2021の中止
2021年10月2日・3日に開催予定だったハムフェア2021の中止が、この日の理事会でようやく決定されました。JARL正常化タイムズ第13号で指摘したように、執行部によるハムフェアの開催に向けた準備は進んでいたようにはみえず、中止の決定は当然でした。
ただし、少しでも早く公表するために、第4号議案ではなく第1号議案として決議をし、土曜日のうちに公表することもできたのではないでしょうか(公表は翌週月曜日でした)。
ハムフェア中止によるJARLの損失がどのくらいの金額になるのかも気になるところです。
そもそも、ハムフェア中止の決定は遅すぎました。出展に向けて準備をしていたクラブや、特にメーカー各社に、現執行部は多大な迷惑をおかけしたことでしょう。
昨年(2020年)は、理事会が開催を決めたハムフェアを、下位組織である実行委員会が中止するという不可思議なことが起きました。今年はその点を反省して、理事会で中止を決めることにした、ということなのかもしれません。ですが、9月理事会を待たず、8月、いや7月に臨時理事会を開催して、中止を決断することもできたはずです。
JARLの理事会は、毎年度5月、6月、9月、11月、2月の年5回しか開催されていません(しかも、ここ数年は6月の理事会も開催されていません。)。たった5回の理事会では、山積するJARLの諸問題を解決できるとは思えません。理事会は、もっと頻繁に開催しなければならないと私たちは考えます。
社員総会議事運営規程の一部改正
第1号議案として、社員総会議事運営規程の一部改正が承認されています。議決権行使書に賛否が書かれていないときに賛成と扱うか反対と扱うかを、理事会として予め決めておけるようにするものです。要するに、現執行部に有利になるようにする改訂です。
これは、正常化プロジェクトメンバーである7K1BIB山内社員が、今年の議決権行使書の扱いは違法であったとの指摘(同氏のブログ記事「第10回定時社員総会の議決権行使書について」参照)を受け入れたものであり、その限りでは評価できます。
しかし、この問題は、来年の社員総会までに改訂すれば足りることです。ハムフェアの中止より先に、第1号議案として決議するようなことでしょうか。
社会貢献活動ガイドラインはどこへ?
第3号議題として、アマチュア無線の社会貢献活動での活用におけるガイドラインの案が上程され、原案を一部修正のうえ、承認されたようです。ところが、「承認された『ガイドライン』は、準備が整い次第JARL Webに掲載します。」との注意書きがありません。執行部に有利になる社員総会議事運営規程は早々とJARL Webに掲載されましたが、ガイドラインは、本稿執筆日現在、未だ公表されていません。
JARL事務局に問い合わせたところ「公表に向けて準備中」との回答がありましたが、1ヶ月もかかることでしょうか。何か、公表をためらう事情があるのでしょうか。
アマチュア無線を社会貢献活動に活用することについては、①アマチュア無線家が社会貢献に主体的にたずさわることにより、アマチュア無線の価値と地位の向上を図るというプラスの面がありますが、②社会貢献を口実に、本来、「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う」はずのアマチュア無線が業務無線的に使われかねないというマイナスの側面も持ち合わせています。私たちJARL正常化プロジェクトは、①の限度では賛成ですが、②のマイナス面については強く反対しています(ご参照:アマチュア無線の社会貢献活動での活用(案)について )。
本件は、政治家をバックに付けた一部の団体が、総務省に対し、報酬が支払われる有害鳥獣駆除活動にアマチュア無線を利用することを追認するよう強く求めたことに端を発するものであり、広く社会的な要請があったとは思われません。JARLは、そのような一部の要求に対し、毅然として、「金銭上の利益」を得る活動にはアマチュア無線は本来使用できないことを示し、諸団体がアマチュア無線を無秩序に利用することのないよう歯止めをかけるべきです。JARLは、アマチュア無線家の代表団体としてそのような役割を担っており、そのためのガイドラインだったはずです。
髙尾・日野岳執行部は、総務省に対し、ガイドラインを作成することを当初から約束しており、それを前提に法令改正の手続きが進められました。にもかかわらず、髙尾・日野岳執行部は、改正法令の施行までにガイドラインを作成できなかったばかりか、今に至っても、ガイドラインを作成したといいながら直ちに公表できないとは、何ごとでしょうか。総務省も、髙尾・日野岳執行部の対応に呆れていることでしょう。
第10回定時社員総会で出された要望・意見
第10回定時社員総会で出された要望・意見について、対応状況などの報告があったようですが、どう対応するのか、具体的な内容は理事会「報告」には記載されていません。社員の要望に対する回答が、なぜ社員に公表されないのでしょうか。
6月の社員総会では、速記録を廃止した代わりに、せめて録音を公開するようにとの要望がありましたが、それも無視されたままです。
社員・会員の不満は溜まるばかりです。
その他の課題
JARL正常化タイムズ13号で指摘したとおり、今のJARLには問題が山積みです。
QSLカードの転送枚数が爆増し、会員への転送が大幅に遅延していますが、今回の理事会で議論された形跡はありません。これでは、カード転送はますます遅れていくのではないでしょうか。
総務省は、アマチュア無線に関係する法改正を検討する「検討会」を開催するとのことです。私たちJARL正常化プロジェクトが執行部を担っていれば、この千載一遇のチャンスを逃さないために、広くアマチュア無線家の意見を集め、検討会に対応するための「特別委員会」を設置し、万全の体制で臨みます。
しかし、今回の理事会では、そのような議論すらなされていません。このような千載一遇のチャンスを、髙尾・日野岳執行部が生かすことができなければ、なんともったいないことでしょうか。
(2021-10-07 記)